「多摩川の歌」誕生に寄せて
美しい多摩川フォーラム
初代会長 篠塚 英子
皆さまに万感の思いで「多摩川の歌」をお届けします。
ことの起こりは、山梨県最奥部にある源流から東京都大田区と神奈川県川崎市に挟まれた河口まで、悠々たる 138キロの多摩川。この流域一帯の山、川、森、桜、鳥、魚などすべての自然の恵みや生き物と、400万人を超える多摩圏民との共生を図りながら、地域活性化を目指して生まれたボランティア組織「美しい多摩川フォーラム」(2007年7月設立)に遡ります。
フォーラムを支えるのは、地域住民、事業者、行政、学界等から参加した約1,000会員の方々です。一人一人の大切な時間を少しばかりいただき、「人々の心ゆるくむすんで」できた運動です。シンボルの多摩川は、これからも何百年、滔々と流れていくことでしょう。それはこの流域を守る人間がいて、次の世代にこの運動を引き継ぐことで可能になります。そのためにも、フォーラム発足時から次世代の子どもたちに「100年歌い継いでもらう多摩川の歌」をつくる、これが念願でした。
そこで、会員の声楽家・保多由子さんを中心に「多摩川の歌」づくりワークショップを組織し、作詞は多摩川にゆかりの深い詩人の谷川俊太郎さんに、作曲は、合唱でも定評のある寺嶋陸也さんにお願いし、歌が完成しました(2010年5月のフォーラム総会で初演)。合唱は地元の三多摩青年合唱団、歌詞朗読は会員で語り部の平野啓子さんと、「多摩川の歌」への想いの輪がどんどん広がりました。フォーラム設立から温めた企画、3年目にして完成です。
このCDは、川の流れのさまざまな表情が楽しめるよう、独唱、混声4部合唱、女声2部合唱、そして作曲者ご自身のピアノ伴奏と、次世代に歌い継がれるような工夫が施されております。
最後に、多摩川以外に、日本全国には多くの川がありますが、その地域に住む皆さまが、この運動から自然と共生する、ひとつのゆるい環のヒントをくみ取っていただけたなら、望外の喜びです。
2010年12月23日記
「多摩川の歌」完成までの軌跡
2007年 7月
美しい多摩川フォーラム設立。
2008年 7月
第1回「多摩川の歌つくりワークショップ」を開催。
2009年 3月
谷川俊太郎先生による「多摩川の歌」の詩が完成。
2009年 5月
第2回「多摩川の歌つくりワークショップ」を開催。
2009年12月
寺嶋陸也先生による「多摩川の歌」の曲が完成。
2010年 3月
合唱バージョンの編曲が完成。
2010年 5月
美しい多摩川フォーラムの平成22年度総会において、「多摩川の歌」を初演。
反響が大きく、CD化を要望する声が多数上がったため、CD制作を決定。
2010年12月
東京純心女子大学江角記念講堂にて、「多摩川の歌」の独唱、混声四部合唱、女声二部合唱、ピアノパート演奏を収録。歌詞朗読は都内スタジオにて録音。
2011年 3月
「多摩川の歌」CDが完成。
2012年 2月
「多摩川の歌」DVDが完成。
作詞者・作曲者
谷川 俊太郎
作詞担当
1931年東京都杉並区生まれ。1952年第一詩集『二十億年の孤独』で詩壇に登場、以来詩作を中心に、翻訳家、絵本作家、脚本家として、またエッセーや評論などでも活発な活動を続けている。他分野の芸術家と交流し、また影響を与え、常に自由な発想から創作を続けて独自の世界を築いている。
寺嶋 陸也
作曲担当
東京芸術大学作曲科卒、同大学院修了。2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋と西洋の出会い」などは高く評価された。オペラや室内楽曲・合唱曲など作品多数。作曲のほかピアニストとしての内外の演奏家との共演や指揮など、活動は多方面にわたる。
ホームページ http://www.gregorio.jp/terashima/
出演者
保多 由子
声楽家
東京藝術大学音楽学部声楽家卒業。1977年、シエナ・キジアーナ音楽院G.ファヴァレット教授のもとで研鑽を積む。ソロリサイタルを中心に、ミサ曲、オラトリオ等の独唱、創作オペラの主役出演、新しい日本歌曲の初演や紹介、放送出演など、多彩な演奏活動を続けている。2枚のソロアルバム「武満徹SONGS~見えないこども」(ビクターエンタテインメント)、「シンプルソング」(日本伝統文化振興財団)はいずれも高く評価された。現在、東京純心女子大学教授。
平野 啓子
語り部・かたりすと
東京都歴史文化財団を経て「NHKニュースおはよう日本」のキャスターや大河ドラマ「毛利元就」「義経紀行」の語り、教育テレビ・伝統芸能番組などの司会を多数務める。一方、名作・名文を暗唱して語る「語り芸術家」として国内外で公演。日本の文化や日本語の美しさを紹介している。文化庁芸術祭大賞等多数受賞。平成22年度文化庁長官表彰受賞。著書「兼好に恋して徒然草に学ぶ」や語りCD「走れメロス」、DVD「平家物語」など多数刊行。
三多摩青年合唱団
三多摩地域で活動
1963年、三多摩地域にうたごえを広めるために創立。毎年コンサートを開催し、「あめあがりコンサート」の愛称で親しまれている一方、地域の催し、集会などに出向き、合唱や太鼓の演奏を積極的におこなっている。1974年、ミュージカル「ヒステリータイムス」を創作初演し、大きな反響を呼ぶ。その後も、林光、外山雄三、栗山文昭、寺嶋陸也、松下耕など、一流の音楽家との共演、新作委嘱初演に意欲的に取り組んでいる。
(作詞・作曲者、出演者のプロフィール情報は2011年3月現在のものです。)
歌詞の紹介と視聴
多摩川の歌
歌詞朗読
平野啓子
多摩川の歌
歌詞朗読ピアノ付
平野啓子
多摩川の歌
ピアノパート演奏
寺嶋陸也
多摩川の歌 独唱
保多由子
ピアノ / 寺嶋陸也
多摩川の歌 混声四部合唱
三多摩青年合唱団
ピアノ / 寺嶋陸也
多摩川の歌 女声二部合唱
三多摩青年合唱団
ピアノ / 寺嶋陸也